2017年10月3日火曜日

コンガル・クラーリングネフの戦歴1

I.
エリンの王国はミレシウスの息子エミール・フィンの一族のニア・セアズムンの息子イオナズウァルの息子ルガズ・ルアグネという名の王によって統治されていた。そして彼は人質や隷属契約や保証を受け取り、彼の治世にアイルランド諸州に王を据えていた。彼はマンスター二州の王権をシンの息子デザに授けたのだが、彼の子孫は際立っていた。つまり詩人の伝えるように彼には四十人の息子がいたのだ。

    デザの三十人の息子たち
    もっともよい子供たち、
    そしてそれから他の息子たちは
    武勇において五十人の戦働きに匹敵した。

そしてコンラハ・キャスに対して彼はコノートの王権を授け、レンスターの王権はスキオムインの息子アルトに授けた。それからルガズ・ルアグネはウラズ人には酷い暴虐を与えた。つまり彼は彼らに二人の王を据えたのだ。彼はムラズからベン・ボーフェのアルスターの北半分をルーリーの息子コンガル・クラーリングネフに、バン川からドロウェス川までの南半分をレーティ(Leide)の息子フェルグスに授けた。しかしこの二人の王の治世の間はウラズ人には悪い状況だった。なぜなら彼らは略奪され、暴力と攻撃を受け、圧迫され、彼らの誰もがその時までずっと苦悩を抱え込んでいたからだった。

II.
王たちが不在の折りにウラズ人の貴族とルーリーの一族たちにより美麗なるエウィン・ウァハにおいて会議が開催された。次の貴族たちがそこにいた。
ルーリーの息子の赤王ロスの息子ファフトナ・ファサズ(賢人ファフトナ)、そしてケルトハルの父ウサハル、そしてコナル・ケルナハの父アウェルギン、そしてロスの息子のニアル・ニアウグロナハ、そしてルグジオフの息子でブリクリウの父であるケアブリ、そしてルガズ本人(ケアブリの父ルグジオフ)であった。
「まことに我らには悪いことだ、」と彼らは言った。
「エリンの大王が我らに課したことは」

「あなたがたは知らないのか、諸君、」とファフトナ・フィン・フィリ(美しい詩人ファフトナ)は言った。
「エリンの王があたながたに課したこの暴虐は、あなたがたの国を滅ぼすためだと。なぜならあなたがたの王家の血脈はエリンの他のそれに全く劣っておりませんから」


「わたしから諸君に助言があるのだが、各々がた」とルグジオフの息子ケアブリが言った。

「どのような助言かな?」と彼らは言った。


「エウィンに住まう貴族や首領たちで盛大な宴を準備し、全ての者たちにその宴を準備させ、用意させよう。
それが始まったなら、君臨している二人の王の周りで食事を共にしようと、全てのウラズ人を集まらせよう。
そしてウラズ人がすべて揃った時に、二人の王を捕えて殺し、それからこの州の統治をあなたがたの中の一人に任せて、自分たちのためのエリンの王権を保持しようではないか、かつてあなたがたが習わしにしていたように。」
アルスターの貴族たちはその助言を取り入れることに決めた。そしてかれらは用意を整え、客人たちを招き大勢の人々が食べ飽かすほどの宴の準備をした。そしてこれら人々を後から招くことは容易だった。

全てのウラズ人が彼らに君臨する二人の王の周りに集まった。エウィンの王の屋敷は新たに真新しいイグサで敷き詰められた。
そして二人の王はその家の輝かしい覆いがかけられた寝椅子に座った。共謀者たちや陰謀を吹き込まれた者たちは別々に立上がり、ウラズ人とその州のならず者の一団に王たちを攻撃して殺すように命じた。
ファフトナ・フィン・フィリはこれを聞いてルーリーの一族が行った反逆を後悔した。そして彼が立ち上がると、アルスターの学識ある者も皆で立ち上がった。そしてファフトナは彼らに意思を伝えた。彼らは二人の王の間に座り反逆から彼らを守ろうとした。
反逆者たちは入ってきたが詩人とオラヴたちが彼らを守っている場合にどうすればよいのかわからなかった。なぜなら彼らはオラヴを冒とくすることは罪深いことだと考えていたからだった。
そしてじつに様々な身なりをした者たちは彼らに出くわした。コンガルは彼らを見て、様々な身なりの者たちがやってきたことに気付くと、彼は王たちの両方か、どちらかに危害を加えるために彼らが来たのだと思い込んだ。
彼はその見解をファフトナ・フィン・フィリに伝えた。
「事実です、王よ。」とファフトナ・フィン・フィリは言った。
「あなたがたが法を犯し、エリンの王に虐げられ、そして広大な州があなたがたによって荒廃してしまっているから、すべてのウラズ人があなたがたを殺すと決めたのです。
「実際にはお前たちが法を犯しているのだぞ、」とコンガルは言った。
「我らを騙すような行為をしたり裏切ろうとするとは。なぜならエリンの王はお前たちの間で万一起こるかもしれないこと(アルスターの荒廃)をそれ(王の殺害)より悪かったとは思っていなかったのだろうから……
もし、もっと悪かったのならそれがエリンの王の意見なのだ。
そのうえ、仮に州を荒廃させ、不法に攻撃し、屈服してしまうようになるまで(アルスターの民を)束縛して、足かせをつけ、鎖につないでしまった者が我らのうちの一人であったとしても、それだけのことだ。
そして万が一にでも我ら二人ともがそうであったとしても、我らを捕まえて鎖につないで拘束することが正しいのであって我らに対して同族殺しとなる復讐をするのは正しくないことだぞ。
仮にだが、そうしたうえでルーリーの一族の他の者に州の統治権を与えるのが正しいだろう」

III.
ウラズ人たちがそれを聞くと、王たちは内に入り、ファフトナ・フィン・フィリは彼に手が届くところで意見を述べた。
「わたしはそなたらに素晴らしい助言を聞かせよう、アルスターの者たちよ。」と彼は言った。
「そしてそれにそなたらは従うのだ。なぜならこれらの王たちはわたしとそして同様に全ての学者たちの保護下にあるからだ。屋敷での祝宴を始めようではないか。すべての者は自らに相応しい席につこう。そして王には彼らの席に案内させられるように。そなたらの不満は脇に置いて、今宵は騒ごうではないか。翌朝、わたしは二人の王それぞれに三十輌の戦車を同行させてタラの都に向かおう。エリンの王に彼らの一人かルーリーの一族の王家の血筋の誰かににアルスターの王権が授けられるように伝えよう。なぜならエリンの他のどの州も一人の王しかいないのだから。」
「成功と幸運あれ、ファフトナさま」と彼らは言った。
「本当にアルスターの良心と繁栄のための助言でしたから、そのようになるでしょう。」
アルスターの者たちはその夜酔いしれて、飲み飽かした。それからコンガルは次のような演説をした。
「意地の悪いことだ、戦士たちよ。」と彼は言った。
「不信を楽しみ、エリンの上王の裏切りと嫉妬のために我らを大いに憎しんでいたとは。わたしはそなたにもう一つ忠告しておこう。宗主に対して裏切りを働くな、わたしはお前たちの封建君主なのだぞ。」
「まったく悲しいことですが、上王よ」と彼らは言った。
「我らは皆でおびえねばならぬでしょう。あなたを裏切って同族殺しをすることは世の繁栄のためであって、罪にならぬでしょうから」
それから彼はこれらの言葉を述べた;

    私の寛大な忠告
    騙すな、裏切るな
    欺瞞なくば罪に
    終わりなき闘争を通して
    [擦り切れて読めない]―とても意欲的なフェルグス
    彼の住まいは多い
    [擦り切れて読めない]―わたしは断固として言う
    支配者への裏切りは良くないことだ
    彼らは来る―[擦り切れて読めない]
    摩擦のない関係はよくない
    [擦り切れて読めない]

彼らは酒を飲み、楽しみ、そしてあの助言に皆で同意した。それから彼らそれぞれは自分の寝室へと言った。翌朝の日が昇る頃に、ファフトナ・フィン・フィリは起きてコンガル・クラーリングネフがいる屋敷に入っていって彼に言った。
「起きてください、コンガル王。」と彼は言った。「タラに参りましょう。」
それからその詩人はレーティの息子フェルグスの寝室に入っていき、同じことを彼に言った。
二人の王は共に彼らの全ての部下を従えて行動を起こし、馬を捕まえて戦車にそれらを繋いだ。
ファフトナが指示していたようにコンガルは三十輌の戦車で前方にたち、フェルグスは別の三十輌の戦車と一緒に後方にいた。そしてファフトナ・フィン・フィリは彼らの真ん中にいて、そのようにして彼らはタラにやって来た。

IV.
当時のタラの様相は次のようだった。;
エリンの全ての州の王はそこに素晴らしい建物と居住地を所有していた。彼らはアルスターの者たちのための土塁の砦に来たが、そこは当時は門番の砦と呼ばれていた。そしてそのようにする理由というのは、タラに来た最初の夜の宴をともに参加するためだった。そしてそれからエリンの王の屋敷に行けるように彼らはそれぞれの屋敷で旅行用の服装を着替えるためだった。
アルスターの二人の王は具足と旅装をそれぞれの屋敷で脱いだ。そしてエリンの州の王は彼らだけを除いては皆で先にそこに揃っていたので、エリンの王はかれらがタラに来たと聞いた。彼らのために彼はミズクアルタの屋敷の支度を整え、アルスターの王を歓迎するために一人の者を送り出した。彼らはエリンの王の屋敷に連れて来られた。
そして彼は彼らに酒や楽しみを勧めて席を指定した。彼自身は玉座に座り、シンの息子デザは彼の右手に座った。コノートの王コンラハは屋敷の南側の扉のほうに座り、メスデルウァンの息子アルトは屋敷の南東の一角に座った。
二人のアルスターの王は祝宴が開かれる屋敷の北側に座った。常にタラにいてエリンの王とともに高みの地位を与えられる州の王へはエリンの王の復讐と名誉の代価の権利が認められた。王のどちらもが三十人の貴族とともに一つの寝椅子に座れるような、二つの寝椅子が彼らに与えられた。それから彼らに宴の給仕がなされ、食事が前に運ばれ、祝宴を共にした。

V.
それから彼らはそこにいる女性を凌駕するほど美しい姿形の少女が近づいてくるのを見た。天空の星々の美しさを太陽が凌ぐように、彼女は容姿においてゲール人の全ての美女を凌いでいたのである。彼女は百五十人の美しい女性を引き連れていた。そして彼女たちの真ん中の高い壇上に、彼女が案内された美しい水晶の席はあった。
彼女らはエリンの王の保護下にある屋敷の残りの席の椅子に座った。真新しいイグサが敷かれた小さな寝椅子が彼女の周りに配され、その席の四隅には美しい銀の座布団が置かれた。
高貴な女王はそこに座り、とても美しい侍女たちが彼女の周りの真新しいイグサが敷かれた小さな寝椅子に座った。遅れてきた彼女はエリンの王ルガズ・ルアグネの娘のフィナヴァルだった。
彼女はエリンの諸王たちを不思議に思って見て、エリンとアルスターの諸王の姿を一瞥して記憶と心の片隅にとどめつつ視界におさめた。
「本当に美しい女性たちですね。」と彼女は言った。
「(それにひきかえ、)アルスターの二人の王を連れてきて一つの屋敷に入れようだなんて、エリンの諸王の男ぶりがすたるというものです。それというのも、ルーリーの一族の一人を除いてエリンの王国を有するのは誰であれ難しいのですから。だってエリンの諸王の男ぶりはアルスターの王たちの男ぶりにたとえられるような大きな火の燃えかすのそれとは違いますもの。」
「コンガルはこんな感じですわね、」と彼女は言葉を継いだ。
「彼の髪はぼさぼさしていて美しくよじれた髪型で、明るい色合いの好戦的な目つきと茶と赤のぎざぎざした髭です。彼の着ているものはというと明るい紫の外套が胸元の上を覆っていて黄金のピンでとめられて、様々な色味を見せる整えられた黄金のシャツが肌に触れています。そしてとても長く金で装飾された剣を履いている。
そして彼の頭上には黄金で飾られた最も大きく勇ましい盾をひっかけるための鉤があります。とても勇ましい槍が彼の盾のてっぺんの皮の上にあります。恐ろしさと王の威厳を彼は持っていますわ。

しかしフェルグスは、心地よく親しみやすい若者です……王に相応しくて、髪の房に、そしてとても明るい色の瞳、それにほっそりと黒い髭。髪は巻き毛で、美しく艶があります。彼はどのような階級の者にも優しく親切です。彼が着ているのは胸元を差す銀のピンがついた緑の外套と肌に触れる白のシャツ。腰には輝かしい柄の剣、そして革のふちの下の鋭く丸みを帯びた(?)槍の上の鉤に重く緑色をした盾がかかっています。」
「さて、ご婦人、」と彼らは言った。
「あなたは上品で巧みに正しく魅力的に彼らの容貌と様子を言い表しました。そしてあなたがお出ましになり登壇なさったことで、もしかするとあなたは彼らの一人に愛情を授けることになるかもしれませんが、歓迎します。」
「確かにそう致しますわ、」と乙女は言った。
「わたくしの愛を彼らの一人に授ます。ムル・ネフトから寄せる海の波が入江や浜辺に満ちるように、レーティの息子フェルグスの愛がわたしを満たすのですから。」
………………………………………………
クロフ、クリファンの娘よ、……………
………………………………………………
そして彼女はこのように作詩した。

    クロフ、優しいクリファンの娘よ。
    レーティの息子のもとへ行きなさい、急いで。
    わたしはその戦士と分かち合いたいのです。
    わたしはどの王よりも彼を愛していますから。
    私はルガズの娘、
    彼の愛情を気に欠けています。
    彼の重く激しい愛が
    私の心を貫いたのです。
    彼がこのように生きている限り
    わたしは誰のためにも彼を見捨てはしません。
    ………………………………………………
    クロフ、クリファンの娘よ。

VI.
クリファンの娘クロフはそれから行動を起こしてレーティの息子フェルグスがいる場所へと屋敷を横切っていった。
「レーティの息子フェルグスさま、」と彼女は呼び掛けた。
「わたしはエリンの王女さまよりあなたさまへと求愛の言葉、そして喜ばしい金属の品とあなたへの深い愛情もお伝えしに参りました。」
「ルガズさまの娘のフィナヴァルがそのようにお求めになるのは願ってもないことです。なぜなら彼女の半分であろうとも、わたしのそれは微塵も劣っていません。つまり、半分というのは二つに分かれた愛のことですから。」
そしてその若者は杯を受け取って、それを飲み干すとクロフに手渡した。それからクロフは彼女の里子としての姉妹のもとへと帰っていった。彼女はレーティの息子フェルグスが彼女に抱いている深い愛情について話し、そして金属の杯と知的な例え話は彼女を浮かれさせたのだった。

VII.
それからファフトナ・フィン・フィリはなめらかで尖った角杯をもって立ち上がって言った。
「エリンの紳士諸兄、」と彼は呼び掛けた。
「それにエリンの王にもご挨拶いたします。」
「オラヴよ、あなたにも。」と彼らは応えた。
「そして、どのような理由でここにいらっしゃったのですか。」
「ルーリーの一族の貴族たちがあなたのもとへ彼らに君臨する二人の王とわたしを遣わしましたのは、あなたたちの差配では公平な統治ができず、エリンの諸州が繁栄を謳歌している一方で、とある州はあなたがたによって破滅しているのです。
その州の人々はあなたがたに彼らのうちの一人か、あるいはアルスターの王家の血筋の誰かに王国を与えるように求めています。なぜなら彼らはエリンの他の諸州から違うように脅かされているのです。それゆえにその州を彼らの間から特別な者にお与えください。」

「そのようにしよう、」とルガズは言った。
「そしてそこで我らはエリン全土の者から意見を聞かねばならぬ。」
その男(ファフトナ)は座り、多くの宝石や宝物が彼に授けられた。そしてそこの全ての貴族は自らの寝室へと行き、夜が更けていった。

VIII.
翌朝の早くにエリンの王は起床した。なぜならタラの都で太陽が昇るのを見ることはエリンの義務だったからだ。そして彼はタラの外れにある英雄たちの泉に来て、手と顔を洗った。
それから王は四方を視察する習わしだったので、彼はムレアン・キアルナザの横のドゥマ・ナ・リーグラザに来た。そしてそこで女性が一人でいるのを見かけた。
「誰かと逢引をする乙女の約束でもしておるのか、娘よ」とエリンの王は言った。
「ええ、そうですわ」と少女は言った。
「そしてわたしがお会いするために来ていた人は良いのです、エリンの王、わたしのお父様。」
「では娘よ、」とエリンの王は言った。
「なぜそなたは羽毛の敷き詰められた寝椅子と甘美な微睡みから抜け出したのだ、本当のところは深刻な悩みのためでもないのなら。」
「わたしは昨夜には全く眠れませんでしたわ。」と少女は言った。
「思いつめて、金属(の杯)のことで悶えていました。」
「なにがおまえをそのように惑わすのだ、娘よ。」と彼は言った。
「わたしの悩みのことでしたら、」と彼女は言った。
「それはアルスターから来た二人の王のどちらにあなたが王国を授けるのかということですわ。」
「お前は無関心ではなかったのか、娘よ。」とエリンの王は言った。
「彼らのどちらに私が王国を与えるのかということに。」
「わたしは本当は……ではありません…………[所々に空白]…………………
王国、彼は王として恐ろしく厳めしい側面を持っています、それに…………
………あなたのため、なぜなら予言者が彼に予言しました……だろうと……
………フェルグスにわたしは王国を差し上げたいのです。」と彼女は言った。
「彼の王国はお前のものだし、それは……………………………………………
…………私はしよう。」
「私はお前がフェルグスと恋に落ちたと信じよう。」と彼は言った。
そこで少女は言った。

    栄えある王の娘よ、
    お前の父に優しく教えておくれ、
    後悔しないように山の上で、
    ルガズ・ルアグネへのお前の言葉を。
    彼らのどちらをお前は愛しているのか。
    愛情をもって教えておくれ、
    まことの愛から彼の名を。
    美しいフェルグスをわたくしは選びました。
    彼はわたしの夫に相応しいです。
    彼は永久にわたくしの最愛の人です。
    乙女たちの最愛の人です。

IX.
「エリンの人々の指導者たちが私と今いたならば、そこで私は彼らに意見を求めただろうに。」
「彼らはきっといらっしゃいますわ、」と少女は言った。
「だってクロフに彼らのところへ行かせますから。」
クロフはタラへ、エリンの諸王たちの寝室にやってきた。そして彼女は彼らとエリンの王の相談者たちを起こして、彼らはドゥマへと来た。そこにはエリンの王がいた。そして彼女が彼らを前にして言ったことで彼らは口をそろえて言った。
「この件に関して、そなたらの考えはどうなのだ。」とエリンの王は言った。
「レーティの息子フェルグスに王国を与えることです。」と彼らは言った。
「なぜなら我らは彼以上に好ましい友人がルーリーの一族にはいませんから。」
「王権に瑕疵ができるな、戦士たちよ、」とエリンの王は言った。
「年長者よりも若輩者に王国を授けるとは。」

「コンガルには別に補償を与えなされ、彼があなたの友人でいられるように。」
「その通りだ、与えようではないか、」と彼は言った。
「エリンの全ての州から郡を一つ、それに加えて、タラの都の周辺の最も良い郡も。それにエリンの者たちの取り決めや秘密について分かち合えるように計らおう。エリンの人々のほんの一握りしか立ち入れない私の祝宴場の屋敷に席も。
そして毎年彼の顔と同じ大きさの黄金も。そしてエリン全土の特権もだ。アルスターの王国の半分といえどそれらの物事よりは良くないだろう。」
彼らはこの提案に皆で同意した。それからレーティの息子フェルグスは王になったが、彼はそれを知らなかった。そして彼らは皆で静かに退場して、酒宴の時がやってきた。
その夜、彼らはいつもの慣習にしている通りに祝宴会場に赴いた。そして酒宴を楽しみ、廷臣たちの会議が開かれた。それからファフトナ・フィン・フィリはなめらかな角杯をもって立ち上がった。
「良いことですな、王よ、」と彼は言った。
「彼らのどちらかに他に優先して王国を与える決定をなさるとは。」
エリンの王は同意してうなずいた。そしてシンの息子デザは言った。
「アルスターの王国はレーティの息子フェルグスに与えられるものとするが、エリンの全ての州から一つの郡がコンガルには与えられる。また、タラの都の周辺の最も良い郡もだ。そしてエリンの人々の取り決めや秘密に関して分かち合えるように取り計らわれる。それに、立ち入れる者はほんの一握りであるエリンの王の祝宴の家の席も。
そして彼の顔と同じ大きさの黄金と、エリンでの契約に介入できる特権についても。」

X.
コンガルはこれを聞いて、背にした壁に勢いよくもたれたので彼らの紐かけから盾が落ち、棚から槍が落ち、剣がその場から落ちた。そして彼は手近にあった(宴の)分け前の酒を一杯だけ飲み干して、ウラズ人たちの宿舎に向かって出て行った。その夜、彼は安らかに眠れなかった。
彼は翌朝早くに起きて今はリオス・トルナ・エキスと呼ばれる王の円砦、ブレガの王ケアブリ・クロウの屋敷に行った。そして彼は王の寝屋に来た。
「歓迎するぞ、コンガル。」とケアブリは言った。
「それでお前たちのどっちが王国をもらったんだ。」
「レーティの息子フェルグスだ。」とコンガルは言った。
「王国の破滅だな、」とケアブリは言った。
「年長者に優先して若輩者に王国が授けられるとはな。」
「どんな見返りの申し出があったんだ。」とケアブリは言った。
コンガルは申し出られたすべての見返りを彼に教えた。
「それを受け取らんのか。」とケアブリは聞いた。
「そうしなかった、実際にな。」とコンガルは言った。
「それなら教えてやるが、」とケアブリは言った。
「お前の恥辱のことで奴に復讐するべきだ。なぜならお前には自分の恥辱を雪ぐことが難しくないからだ。それにお前は軍勢を召集できる長だからな。そして軍勢を召集できる者は自らの国を守るだろうさ。」
「私は誓おう、」とコンガルは言った。
「我が盾と剣にかけて、私は土地の提供の申し出を受けねばならぬだろうが、それは奴とエリンの王国をかけて戦うまでのことだ。」
「そんな風にする必要はないな、」とケアブリ・クロウは言った。
「わたしにはお前の養子である息子(ケアブリ・クロウの息子のケアブリ・コンガンクネサハ)がいるが、あれならお前と一緒に行くだろうからな。」
「彼なら歓迎だ。」とコンガルは言った。
そして彼らは三日三晩そこで酒宴を楽しんだ。

XI.
コノートの貴族の王の二人の息子、フェックの息子アリル・テオラ・ガイスとフィルホガの息子アルティグ・ウフト・レサンの息子アリル・テオラ・クリオフがこれを聞きつけた。
なぜなら彼らはシンの息子デザによってコノートの王コンラハのもとから追放されていたのだった。彼らはすべての従者を引き連れてコンガルのもとへと来た。そしてコンガルのところに二百の屈強な兵が来たとケアブリはコノートの二人の王子に言って、彼らは同盟を結びコンガルに従った。
(エリン南部の勇猛な王の一族)フェルグス・ファルギの息子クリファンはこれを聞きつけた。そしてアルバ(スコットランド)の王ムレダハ・メルゲハが自らの過ちからアルバを放逐されて、エリンの王のもとへ気ままに行こうとしていた時に、これを聞くと全ての部下を連れてコンガルに臣従した。
コンヘンたちの王子アナザルと三百人のコンヘンたちが彼らのあやまちのためコンヘンの土地から追放されている時にこれを聞き、コンガルに同じように臣従した。ケアブリ・クロウの屋敷を出発した時にはコンガルには二千人の精強な戦闘部隊がいた。

XII.
それからコンガルは進軍して自らの州へと向かった。彼らが今はベナ・ブレグと呼ばれているベナ・アナンに到着すると、彼らのほうへと近づいてくる大軍を見つけた。
そしてその軍勢はエリンの王ルガズ・ルアグネの息子クリファン・ケイウのものだった。そして百五十のエリンの王の戦士が彼に従って気ままにエリンの都タラを訪ねようとしていた。このような様子で彼はいた。つまり、歴史物語の語り部の詩人フィアハが彼の前でディンヘンハス(地名の由来となる伝説)を作詩していた。
「ボイン川のこの浅瀬はなんという名前だ。」とクリファンは言った。
「かつては冷たい浅瀬でした、」と詩人フィアハは言った。
「そこでは新鮮な水と塩水が交互に行き交って、そのためもっと冷たくなるのですから。鹿の浅瀬と呼ばれる理由はエリンで最初に鹿が殺されたからです。殺したのはフィンタンでした。」
ディンヘンハスが作詩された時に、彼らは近づいてくるコンガルを見かけて、嫌悪した。彼らが彼の起こす邪悪さを知らなったのなら、それは理由のない嫌悪だっただろう。
「我らはそなたの戦士たちを攻撃する理由はなかろうな。」とコンガルは訊ねた。
「おそらくな。」とクリファンは言った。
「それでどちらにこの度は王国が授けられたのかな。」
「レーティの息子フェルグスに与えられた。」とコンガルは言った。
「その王国は失墜するだろうな」とクリファンは言った。
「お前は死すべきではない人間の中には入っておらん。」
コンガルは彼をつかんで、剣の一撃を見舞って素早く首を刎ねた。そしてクリファンと一緒にいた百五十人の戦士たちは、詩人フィアハただ一人を除いて、コンガルと彼の部下によって死んだのだった。
コンガルはフィアハに言った。
「智慧と学識の名誉のため立ち上がって、エリンの王に伝えろ。我らが奴にアルスターの王国のことで復讐をして、そして他の分け前についても復讐をするだろうとな。」
彼はそれからエリンの王の息子に頓呼してこの歌を作った。

    そこで横たわる、美しいクリファンよ、
    ルガズの子、とても愛想がよかった。
    あなたの遺体は丘の上に横たわっている。
    ルガズ・ルアグネの悪行を原因として。
    フィアハよ、伝えよ。
    エリンの王に、口論にならぬよう。
    彼の息子は我らによって殺されたのだと。
    そしてイウリウの野で死んだと。
    ルガズは間違った裁定を下した。
    奴は私に不正を負わせ、
    クリファンは、美しい顔をしていたのに、
    彼を私は殺したのだ。

XIII.
それから、コンガルはロスの領地へ向かい行軍して、フォハルズ・モア・ムルテムニーと呼ばれているテウィル・ウァラの平野へ、ミオズルアフラの大街道と呼ばれる曲がった道を過ぎて、イヴァル・キン・トラフタ(大地の隅のイチイの意味か)と今は呼ばれているイヴァル・キンホズキ・ミク・ネフタン(ネフタンの息子キンホズキのイチイ)へ、そしてアース・クルスニ(クルスニ人の浅瀬)と呼ばれる大きな浅瀬へ、そして東のマグ・コヴァ・キン・モアに、クノック・ディアウラハから、とうとう今日ではバレ・オーン・ドゥンガレと呼ばれているアルスターの中心にあるカーン・マク・ブアハラについた。
そして停止して宿営地をそこに建設し、そこでコンガルの三人の養子たち、つまりロイフとフェルグとフリスナス(フリスアス)という名のアルスターのクルスニ人たちの王の三人の息子がやってきて、彼に臣従した。コンガルはこのように行動していた。

XIV.
一方、詩人フィアハはというと、彼はタラの都に来てエリンの王に彼の息子と戦士たちがコンガルによって殺されたことを伝えた。そしてタラの都中が重苦しい嘆きと悲しみに包まれた。
「あなたがいる状況は因果応報だぞ。」
とエリンの王は言った。
「なぜなら私にコンガルからアルスターの王国を取り上げて不正を行うようにお前が仕向けたのだから。」

※フィアハはアルスターの王位に関する決定の経緯に登場しないのでなぜこのような言い方なのかはよくわからない。


「そのようなことよりも全く簡単ではないことがございますぞ、」と人々は言った。「なぜならあなたの娘はレーティの息子フェルグスへの愛が原因で死なねばならぬのですから、彼のものにならぬ限りは。」
「我が息子を失っただけでも私にとってはもうたくさんなのに、加えて我が娘を失えぬ。フェルグスに我が娘を与えることができるようにこちらへ連れて来るのだ。」
フェルグスは彼らのところへ連れていかれた。そして少女は彼に求婚して、彼は補償のためにあらゆる種類の牛を百頭ずつ贈ることを約束した。
そしてデザがフェルグスに話しかけた。
「ルガズはそなたに対して大いに好意を述べた、フェルグスよ。彼はアルスターの王国をそなたに与え、自らの娘も同じように与えた。そしてそなたは彼の王権に異論を唱えるべきではないぞ。」
「私は彼を見放したりはしません、本当に、」とフェルグスは言った。
「私が生きている限り、彼がエリンの王でいる限り。」
エリンの王女の結婚がその夜祝われて、彼女はフェルグスのものになった。そして結婚式は三日三晩の間続いた。

XV.
それから、フェルグスは言った。
「我が心の友、ルガズよ。私にアルスターの王国に行き所有権を奪い返しコンガルを追放する時が来ました。いくらか私に援軍をつけてください。」
「援軍を出そう、すぐにでも」とエリンの王は言った。
「マンスターの王子のデザの息子ジャルグとレンスターの王子のアルトの子メシュ・ドウナンとコノートの王子のコンラハの息子ティネとエリンの王の息子、そして全ての若い戦士たちだ。」
「成功と祝福あれ、王よ。」とフェルグスは言った。「兵力を増やせて嬉しく思います。」
その軍勢はタラの都を出発して、ついに彼らはエウィン・ウァハに到着した。正しい王の宴がそこで彼らのために準備された。そして全ウラズ人が召集されて彼らに合流した。そしてフェルグスの周りに集まり、王だと叫んで宣言した。
そしてロスの息子フェルグスが彼らの中にいた。それはロスの息子フェルグスが領地を得て最初の年のことだった。彼の祝宴の屋敷はその夜、レーティの息子フェルグスによって用意されていた。彼はロイの息子フェルグスに言った。
「今夜、どこにそなたは宿泊するべきかな。私と一緒にいるか、それとも勇士の王の場所かな。」
「俺の手勢には他人を楽しませるよりも自分たちで楽しむほうが性に合っているし、王の勇士の場所に泊まりましょう。」
レーティの息子フェルグスはその夜にアルスターの貴族やエリン王の軍勢のそれぞれの格に相応しい名誉を示した。一方、(ロスの息子の)フェルグスには問題がこのように立ちはだかった。
レーティの息子フェルグスは彼にに軍役の報酬を支払った。五年間の完全な相続権、仔牛三匹の権利、五十杯の蜂蜜酒やエールが入る一つの酒樽。そして、加えて彼が手に入れた他の全ての楽しみについても彼はアルスターの彼が立ち入ったどの屋敷に対して与えた。
フェルグスの従者はその夜の報酬を求めた。
そしてレーティの息子フェルグスの従者は言った。
「今日はその日ではない、」と彼らは言った。
「なぜならエリンの軍勢の貴族たちが今日はその場にいるのだから。」
そしてロスの息子フェルグスの従者たちは彼らに仕返しをしてやるぞと言った。
「コンガル・クラーリングネフと一緒に復讐しに来ない限りはお前たちでは我らになにも悩ますことはできないぞ。」と彼らは言った。
そして彼は勇ましく論争を吹っ掛け続けた。
フェルグスの従者たちはフェルグスその人に近づいて行った。そしてその者どもが言ったことを彼らたち自身が同じように言いつけ、彼らは個人的な都合で怒り出して互いへの不信感をかきたてた。そしてロスの息子フェルグスは彼の報酬がレーティの息子フェルグスにどのように奪われたかを語った。
「言ってやるが、」とロスの息子フェルグスは言った。
「報酬の支払いが遅れていることはもちろんのことだが、ルーリーの一族の誰かが俺の報酬を再び奪うようなことを習わしにさせぬ。俺はそのことで奴に復讐するつもりだ。」
彼らはその夜を過ごした。そしてロスの息子フェルグスは、彼の全ての部下とともにルーリーの息子コンガルと一緒にレーティの息子フェルグスに復讐する用意をするために翌朝早くに起きた。

XVI.
フェルグスはそれから彼の手勢を引き連れて、彼は彼ら(レーティの息子フェルグスの従者)を包囲して皆殺しにした。彼はレーティの息子フェルグスが彼を殺すか捕まえるだろうと思っていたからだ。そしてコンガルの陣地に向けて移動した。
コンガルの斥候は頭上に槍を掲げた戦士たちに気が付いた。彼らが見た者はコンガルに近づく敵だと思い込み、コンガルと彼の戦士と部下たちは慌ただしく起きた。そして彼らはエリンの全軍勢がいるとさえ想像して彼らに攻撃をしかけた。コンガルは軍隊を率い、その時にロスの息子フェルグスの数えきれない軍勢が近づいていて、軍の前にフェルグスがいるのを見かけた。そして彼ら、ロスの息子フェルグスたちは戦おうとして行軍していなかったので部下に槍を下げるように命令した。
コンガルはこれを聞いて一方の軍から他方へと赴いて、フェルグスの首に腕を回して接吻して歓迎した。
「そなたの帰順を歓迎するぞ、偉大な王フェルグスよ」と彼は言った。
彼はフェルグスに偉大なる王以外にはどんな形容もしなかった。そして彼、フェルグスはやろうとしていることを教えた。
「それは問題ないぞ、」とコンガルは言った。
「我らが抱えるものの全てをお前とは分かち合わねばならぬからな。だからもし私が全エリンの王国を掌握したら、その主たる座はお前のものだ。それにお前だけが我らに帰順している時にルーリーの一族は私に敵対している役立たずどもなのだしな。」
フェルグスはそれから宿営して、彼の天幕が準備され、小屋や掘立小屋が立てられた。

XVII.
その後、彼らはコンガルの天幕で会合を開いた。そしてコンガルは羽毛が敷き詰められた寝台のへりの肘置きに肘をついて、ファフトナ・フィン・フィリは彼を楽しませるために近づいた。
そしておかしな感覚が彼(コンガル)を襲った、つまり寝てしまったのだ。そして不可思議な光景と夢を見て、彼は天幕の地面をまっすぐ歩き、剣を抜いた。ファフトナ・フィン・フィリは、彼を両手で抱いて起こした。
「コンガル王よ、」と彼は呼び掛けた。「眠っている時になにを見たのですか」
「恐ろしく、不可思議で、ぞっとするような光景を見た。」と彼は言った。「私の精神を悩ます者のについて」
「なにを見たのですか、王よ。」とファフトナ・フィン・フィリは言った。
「私はとても広大で碧と白の草原を旅している自分を見た。そして恐ろしい猪が私のほうに向かって来た。我らは次々と戦い、軍勢の全てが猪に殺されている。戦いの最後に私は奴を殺しているのだ。」
そして彼はこの詩を作った。

    私は見た、ウラズ人たちよ
    獰猛な暴力を
    私は全軍が屠られているのを見た
    もう一匹の奴に
    私は平野をゆく自分を見た
    なだらかで、風が吹き、白く、広がっていく
    私は恐ろしい猪を見た
    その恐ろしい外見
    私は逃げている者を見た
    私の勇ましさゆえに
    私は偉大な力で猪を殺した
    私は悪夢を見た

XVIII.
「私にこの夢を説明してくれ。」とコンガルは言った。
「そうせねばなりませんね、」とファフトナ・フィン・フィリとドルイドのフロイフは言った。
「あなたがいたその平野とは、あなたが海を旅することを意味しています。そしてあなたが見た荒々しい猪は海上であなたに戦いを挑む異国の者です。あなたは彼が原因で恐ろしい窮地に立たされますが、猪は主君、あなたによって死すべき定めです。」
「もっともらしいことだ、」とコンガルは言った。
「フロイフよ、どこで私がそのように恐ろしい窮地に立たされる運命かを真に予言してくれ。」
フロイフは叡智と学識に頼り、叡智が明らかとなり無知は封じられた。そして彼はコンガルのもとへ来るとコンガルは彼から情報をせがんだ。そして彼は答えた。

    あなたにお伝えする話があります、輝かしい王よ
    平原の軍勢、鋭い行為、
    平野の向こうに、カラスが甲高く鳴いている
    血が流れ、怒りに任せて戦い
    純粋な英雄、彼は悲しみを見た
    壮大な話です

「恐ろしくも壮大な話だ、」とコンガルは言った。
「語り口も恐ろしい。どのように私がその時にレーティの息子フェルグスと戦い、アルスターの王国を獲得できるかどうかをもう一度私に予言して教えてくれ。」
フロイフはもう一度叡智と学識に頼った。そして真実が白日の下にさらされた。彼はコンガルのもとにやって来た。
「この時期にはあなたがアルスターの王国を奪うことはできないでしょう、コンガルよ。」とフロイフは言った。
「そしてあなたは洋上に送り出されるのです。フェルグスは長い間、あなたを支えるでしょう。あなたは遠く離れた異国の地に居着いて、そこで長い間、十五年を過ごします。あなたはロッホランの土地でまず勢力と王国を得るでしょう。そしてあなたはもう一人の人間、つまりレーティの息子フェルグスから宮殿を奪います。そして軍、大勢の者があなたが原因で命を落とし、宮殿の周りに赤く血濡れた亡骸になるのです。あなたはその後末永く全エリンの権力を掌握するでしょう。」
そして彼は作詩した。

    私に教えるのだ、堂々としたフロイフよ
    私が執念に燃えて軍勢に悲しみをもたらすのかを
    どのように旅をしようか、力の奔流は
    フェルグスと我らの戦いのうちか?
    宮殿の中で軍勢は死ぬでしょう、
    体はそこで引き裂かれ血が流れだす
    そこで軍勢は我らによって皆が死ぬでしょう。
    破滅の宮殿の向こうで
    我らは海を越えて行きます、
    碧海の偉人たちのもとへ。
    彼らは地元からこちらへ来てしまう
    それは我らの願った事ではないな、フロイフよ。